暗夜行路のブログ★

ダメ人間のぼやきです。

黒き雪降る温泉山脈~月下氷人~

山紫水明 山名水秀 錦秀河山 国語の時間に習った四文字熟語が頭をよぎる。

 

視界一面が、果てのない深い新緑に覆われ。遠くを見渡せば、壮観絶大の峩々たる山峰が聳え立つ。

 

異界化と呼ばれる現象によって、兎小屋のように小さな‘東狂‘が、無間に続く幽玄の秘境へと変化したのだ。

 

靴から伝わる山道の感触。下界とは違うひんやりとした空気。叢林から発せられる爽やかな樹香。五感を刺激する、一切全てのものに興味が尽きない。

 

私は‘自我‘をもって、まだ半年程度しか経っていない。なので、世界がなんたるかを殆ど知らないのだが。この筆舌しがたい山峰の壮麗さの前では、ただ眼を丸くするばかりだった。

 

それに、たわいもない無駄話に花を咲かせながら、みんなと登山するのは胸が躍るように楽しいものである。

 

ジン先生の頭頂部が、段々薄くなっている話やら。ケンゴの赤褌が盗まれて、イエローウルフのロッカーから発見されたことだとか。リョウタでも食べれなかった、イギリス料理と肩を並べるほどのまずい学食の話etc・・・・・・

 

学校という閉ざされた空間にあって、こんなにも話題が尽きないものかと驚いてしまう。私たちは、若葉が芽生える青春を謳歌している。

 

ここに大人たちがいれば、私たちを羨望の眼で見つめることだろう。

 

こんな談笑が飛び交う中。リョウタが股間をもぞもぞとさせて、態度で何かを訴えたときは、涙が出るほどおかしかった。いわゆる「放水」を催したらしい。

 

私のように紅一点でも女が混じると、それを言うのが憚られるようだ。私はわざと、眼下に広がる絶景を眺めるフリをして、彼らに「トイレ休憩」を与える。

 

とたんそわそわと、男たちが森の中をかき分ける音が聞こえてきた。私は笑いを堪えながら、彼らの仕草が完了するのを優雅に待つ。ことが終了次第、私も「*花摘み」にいこうかしら。

 

みんなの朗らかな笑い声が、鳥の囀りのように森の中を賑わす。東狂の殺伐惨憺とした世界を忘れることができる、太陽の木漏れ日が溢れる麗らかなひと時だ。

 

しかし、かくも屈託のない「登山遠足」は。山が地滑りを起こすかのように、突如として終焉を迎える。

 

誰の企みであろうか。異界化が異界化を誘発させ、幾多の生命を養い育ててきた、母なる深緑の景観に穴を開け。漆黒の絶望が支配する世界が、荒れ狂う山嵐のように躍り出たのだ。

 

このようにして、かの慄しき魔王が玉座に就くと噂される。全てがとこしえに氷と雪によって閉ざされた禿山が、私たちの眼前に立ち塞がったのである。

 

 

*花摘み 女性が催すときに使う言葉

 

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またpixivで二次創作でもしようかと思って、某放課後サモナーズのイベントにあやかってプロローグを作りました。

 

基本的に自己満足です。というか、こちらの人は基本的に〇〇〇を求めているので、僕の様な文体の人はあんまり歓迎されないのですよね~

 

・・・いや、基本的にわたくしの能力不足でしょう。

 

カクヨムに投稿した作品も、あまり受けはよくありません・・・・しかし、露骨にツイッターで宣伝するのも恥ずかしいので、こんなものかなあと妥協しています。

 

ネットの世界でも、あんまりわたくしは積極的になれません。基本的に、わたくしは自分の内面に埋もれる傾向にあります。

 

・・・・しかし、こうやって起の部分が書けた所で。転結と纏めることが飛んでもなく難しいもんです。あとは語彙力を保つこと、これも大変ですね。

 

 

自分は結構文字を打つのが遅いので、そういう所も悩ましいなあ。文字の修正も多いです。

 

 

とりあえず、気楽にやっていきたいと思います。

 

祖父の一周忌 ~古典風日記始めました~

祖父の一周忌

 

先週、祖父の一周忌があった。

 

丘陵の中腹にあるその寺院は、お世辞にもいい門構えとは言えないが、外の展望は美しかった。

 

空は*縹緲と蒼く澄み渡り、眼下には無数の*大廈高層の建築が聳え立つ。以前は海を眺めることもできたそうだが、今では無数の*混凝土に囲まれて、殆ど垣間見ることはできない。

 

猫の額ほどの大きさの本堂は、十数人程度の親戚が集まっただけで手狭なものになった。

 

床の一部が腐っているようで、歩くとミシミシと軋む音がし。柱には子供が描いたであろう、狸のような珍獣が顔を覗かせる。

 

壁には割れ目が走り、襖は建付けが悪いのか開閉するのに難儀する。

 

人間に非ざるものが住んでいるのではないかと疑うほどに、草臥れた寺院だ。

 

私は隅に座っていた祖母に話しかける。しかし、私の顔を覚えていないらしい。どちら様のご子息ですか、と逆に聞かれてしまった。

 

祖母は祖父が逝去してから、急な坂を転げ落ちるように耄碌が進んでいる。齢は九十を超え、独りで歩くことすらままならない。

 

ほんの数年前まで、祖父と祖母は二人で気丈に生活していた。人間はいつかは死ぬものであるが、なんだか奇妙な気分になった。

 

私の胸の裡にある祖父、祖母は未だに快活な姿を私に披露してくれる。時は無常に流れてゆくが、胸中の時間は過ぎ去らないようである。

 

親戚一同が集まるとすぐに、和尚の読経が始まった。

 

和尚の響く声色と、木魚の一定の拍子が寺院全体に行き渡る。

 

粛然たる雰囲気の中。いつもは剽軽な叔父が、瞼を拭って*落涙滂沱していたのが印象的だった。

 

 

*縹緲 果てしなく、広々としたさま

 

*大廈高層 正しくは大廈高楼と使う。大きく高い建物のことを指す。ビルのことを言いたかったのですが、古典調に纏めたかったので大廈高層にしました。同様の表現を小説で見かけたので使用。

 

*混凝土 コンクリートのこと。これも上記に同じくです。

 

*落涙滂沱 落涙=涙をこぼすこと。 滂沱=涙や雨が止めどもなく流れるさま。

小説を書き終えたので、カクヨムに投稿しました

The Mannequin

 

つつましやかな民衆達の微笑みが溢れる、クリスマスの出来事。


つがいのいない、二人の侘しい乙女は美を求めてThe Mannequinの扉を開く。


その扉を開闢したものに齎されるのは、華のように散り逝く艶やかさではなく。未来永劫に保たれる永遠究極の絶美。


それは彼女達に、至高至善の悦びをもたらすはずだった。


※流血描写があります。


以前モバゲーに投稿されていた、doll shopという作品を基軸にして作成させて頂きました。

 

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884609700

 

微妙なホラー小説になっております。


まぁ、そんなもんだろうと思っておりましたが。閲覧数が暗澹たるものになってます(笑)


作者の技量の問題あるだろうけれども、宣伝しないとカクヨムは厳しいみたいですね。


現実世界においても、ネットにおいても、私は友人が皆無なようです…




Doll shop その②

恐る恐るではあるが、彼女も仕方がなしにdoll shopの扉を開く。

 

館の中は、沈鬱な暗闇に包まれていた。触ったら煤が付くのではないかと勘違いするくらいに、深い漆黒である。

 

「ねえ和子、どこいったの?」

 

不安げに辺り見回す。

 

かび臭い淀んだ空気がフロア一帯に充満している。店舗が営業している様子が全くない。

 

和子は一歩一歩を踏みしめながらdoll shopの内部に侵入していく。

 

ぎし ぎし ぎし と、床の軋む音が嫌に響いた。

 

「もう帰ろうよ・・・・」

 

不安の混じった和子の嘆願は、闇の中へと消えていく。

 

「泉?」

 

和子の目の前に、泉らしきぼんやりとしたシルエットが現れる。

 

店の中は、窓から照らし出される月光だけが光源だった。

 

微かな幽玄たる月漏光が、彼女を艶めかしく映えさせる。

 

「さあ、もう帰ろう。また今度、他のエステサロンを探そうよ」

 

和子は泉の手を取った。

 

 

「・・・・・・・!」

 

 

彼女の手を握ったとたん。掌から電流が疾走し、背筋を伝わり全身が震え慄く。

 

泉の手が、無機質で陶器のような肌触りを宿しているのだ。

 

 

「い ひ あああ」」

 

 

和子は喉の奥から奇妙な声音を発し、血の気の通わない彼女の掌を投げ出した。

 

 

ごろん がた

 

 

泉のようなシルエットを持つ物体が、不自然な姿勢で床に倒れる。

 

人間の関節の動きを無視した、軟体生物のような不自然な形状の物体は、ショーウインドウなどに展示されているマネキン人形だった。

 

「・・・なにこれ、気持ち悪い」

 

和子は眉をひそめ、その物体を睨めつける。

 

女性の形をしたプラスチックの物体は、月夜に照らされて*玲瓏の光沢を放つ。

 

生物に非ざるマネキンの身体は、生命なき石鉱の不気味さと、ある種の妖艶さを漂わせていた。

 

和子が唖然としてその人形を見下していると。舞台の照明が点灯されるが如くに、部屋の中が明るくなる。

 

和子は突如として、鮮やかになった光景に瞼を細めた。

 

「お客様、お待たせいたしました」

 

か細い女の声が、どこからともなく聞こえてくる。

 

いつ、この部屋にはいってきたのだろうか?

 

部屋の一隅に、幽艶とも言うべき淑女が頭を垂れてお辞儀していた。

 

マネキンのような白い肌に、清流のような黒髪が、陰と陽とでも言うべき対極美をなしている。

 

齢は全く見当もつかない。若齢でもあり、それでいて成熟した大人の艶気を醸し出している、*傾城傾国の美女だ。

 

「これから、泉様の*転生をご覧いただきたいと思います。どうぞ、こちらへお進みくださいませ」

 

美女は、恭しく一つの扉を指名する。

 

それは血のような深紅色で「手術室」と書かれていた。

 

 

*玲瓏 玉などが透き通るように美しいさま

 

*傾城傾国 絶世の美女の例え

 

*転生 生あるものが死後に生まれ変わること。転じて、美しく生まれ変わるという意味で使わせていただきました。

 

 

doll shop その① ※文字の練習のため短編小説を執筆

Doll shop ※二次創作小説です。

 

 

冥冥とした闇夜に、燦燦としたクリスマスのイルミネーションが輝きを放つ。

 

光は暗闇の中で輝いている。だが、暗闇は光を理解しなかった。

 

「どこもかしこも人ばっかりね。それに和気あいあいとしたカップルの群れ・・・・。私たちみたく、非リア充にとっては肩身の狭い祝日だわ」

 

和子は白いため息を吐く。

 

「私も今年こそはいい男を捕まえるって思ってたんだけどな~。高身長・高学歴・高収入のね」

 

泉は「高」を強調して、指を一、二、三と広げる。

 

「また、泉の3K病が始まったわね。そんなうまい具合に三拍子が揃った美男子は、私たちみたいな残り物には期待できないわよ」

 

和子はわざとらしく肩をすくめる。

 

和子も泉も、二十の半ばを超えていた・・・・そろそろ落ち着くところに落ち着きたいと、心から願う歳頃だ。

 

「やっぱり、私の顔がよくないのかな~。最近はお肌のツヤも曲がり角で、毎日が小じわとの戦争だし。身体も徐々にだけど、若い頃のハリツヤが失われているのよね~」

 

泉は人差し指で、ほうれい線を引っ張る。

 

一生を美しくありたいと思う女性の気持ちは、時の経過によって裏切られてゆく。

 

「だから今日は、某有名人もご用達だって噂のエステサロンに行くことにしたんでしょ?確か、ここを曲がって突き当りの・・・・」

 

和子はスマホの画面をタップしながら、今いる場所と地図情報を交互に眺める。

 

「ああなんだ。すぐ目の前だったわ」

 

彼女の口から独白が漏れ出す。

 

二人の眼前には、クリスマスで活気づく*瀟洒な表通りとは裏腹に、魔女でも住んでいるのではないかと怪しむほどの、うら寂れた館が門を構えていた。

 

庭の植物は雑草に覆いつくされ、微かに薔薇の形状を留めた低木が、僅かに生脈を保っている。屋敷には蔦がミミズのように這い。ひびの入った窓ガラスからは、燈火の一筋さえない。

 

人の気配が全くしない。今日が定休日だとは、公式サイトには書いていなかった。急な都合でもできたのだろうか?

 

また、玄関と思われる表札には簡素な文字で「doll shop」と綴られている。場所を間違えたわけでもなさそうだ。

 

「なんだか・・・・趣のあるところね。お化け屋敷みたい」

 

泉が、屋敷の庭園に一歩踏み出す。

 

「ねえ、もしかして今日は事情があって、休みなんじゃない?」

 

一方で和子は、館に入るのを躊躇していた。

 

明らかに、この屋敷内には陰気なものが立ち込めている。不気味な*霏々朦々とした漆黒の霧が、土地一面に充満しているようだ。

 

「まあ、そんときはそんときでしょ。一応、お店がやってるかどうかだけ、確認してみてもいいんじゃない?」

 

泉はズカズカと庭を横切り、呼び鈴を鳴らす。

 

・・・・しかし、呼び鈴から音は生じない。

 

「あれー、鳴らないよー」

 

彼女はそれでも、未練がましく何度もボタンを押した。

 

「ほら、子供じゃないんだから止めなさいってば。失礼じゃない」

 

和子は眉をひそめる。

 

泉の行動は、貞淑であるべきアラサーの淑女としては、些か品性に欠けていた。

 

まあ、でもそれが泉なのよね。

 

和子は胸の裡で思った。

 

友達付き合いが長いと、相手の嫌な部分も、多少は目をつぶって黙認できるものだ。

 

「あっ、なんだ。開いてるじゃん」

 

泉はドアノブをひねる。

 

いともたやすく、気味の悪い威圧感を放っていたドアが開扉された。

 

「おっじゃましまーす!」

 

館内の様子を一切確かめずに、泉はドアの中に吸い込まれてゆく。

 

「ちょっと、本当に都合が悪かったらどうするの?」

 

和子の文句は、泉の耳に入らなかったようだ。

 

ドタドタと、館内に侵入する泉の足音が聞こえてくる。

 

「本当に、泉は自分勝手なんだから」

 

和子は呆れ混じりに呟いた。

 

*瀟洒 すっきりと洒落ている様子。

 

*霏々 雪や雨が絶え間なく降るさま 

 

*朦々 霧、煙などが立ち込めるさま。霏々朦々と書き連ねることによって、絶え間なく霧が立ち込めている様。という意味になるのではないかと存じます。

 

・・・・・難しい言葉ばかりを使ってすみません。

 

つづく

 

我が胸の奥の底には

 

師走の木枯らしが吹き抜ける寒さが、肌に凍みる。

 

 

茫漠とした気持ちで、私は寂れた路地を歩いていた。

 

 

冬は陽が傾くのが早い。一日が、夏場よりも短くなったような気がする。

 

 

私の襤褸のコートを何年も使いまわし、裾には穴が空いていた。ジーンズも、毎度同じものを着用している。いわゆる出不精だ。

 

 

もはや歳は二十代の半ばを過ぎ、もうすぐ三十路に差し掛かろうとしていた。世間的にいえばそろそろ妻帯し、会社でもまあまあな役職に就いている年頃だろう。

 

 

私はそういった、一般的な路線から逸脱していた。

 

 

不甲斐ない、だらけきった大人だと嘲笑されても仕方がないだろう。

 

 

しかし、世の中の凄まじい勢いで荒れ狂う奔流から逃れていると、今さら社会に溶け込めるのか自信がなくなってくるものだ。

 

 

私は、幼少の頃から集団に属するのが苦痛だった。

 

 

だが、これは正確ではないかもしれない。もっとpoliteに言えば、集団の中心にいることができない性分だった。できるだけ、人目のつかない端のほうに端座していたかった。

 

 

大きな流れに呼応するのが怖かったのかも知れない。物心ついた頃から斯のような童だったので、三つ子の魂百までと云うように、依然としてその性分は私に引き継がれている。

 

 

漠々とした漆黒の暗闇を、呆けたようにあてもなく彷徨う。

 

 

それが私の姿だった。

 

 

 

※ブログを投稿しようとしても、小説でも一筆書いてみようかも思っても、全然頭が回転しないので、思うがままに執筆してみました。

 

 

機会があったら、今度は旧かなづかいで書いてみたいです。

 

 

基本的に、自分は長文を連ねることができないやうです。

 

 

なので短文投稿します。

 

 

平気で数千文字書く人が羨ましいです(´;ω;`)

 

私と全集②

 

私と全集②

 
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思い付きで、なんとなく書かせていただいております。

 

 

 

今日は行政書士の勉強もあまり進まず、今読んでいる泉鏡花婦系図(現代日本の文学Ⅱ-1)も、低血圧のせいかどうにも頭が回らず読み進めないでいる。

 

 

 

戸川幸夫動物文学全集を読み終わったのち、似たような本はないかと探していたら、図書館で講談社から発行されている「世界動物文学全集(30)」を発見した。戸川幸夫の全集が15巻だったので、巻数はその倍になる。

 

 

 

漠然と自然に興味があった時期なので、早速ヤフオク30巻揃いで売っていないか確認した。確か、7000円くらいで買った気がする。

 

 

 

「古きよき時代の懐かしい古典から、現代に至るさまざまな秀作を網羅し、自然回帰への渇仰に応える空前絶後の集大成」と、帯に書いてあった言葉がなんとも全集らしい。

 

 

 

当時は就活もせず、大学での友人付き合いも皆無だったので、本を読む時間は大いにあった。バイト代は殆ど大学の学費に消えていたため、趣味といえば金のかからない読書くらいなものだった。

 

 

 

ジャングルブック」や「ジェニィ」のような児童書に近いものからノンフィクションの「私のルーファス」「愛しのエルザ」「野生に帰れ」非常に難解な「自由の大地」など。動物文学というテーマを基準に、様々な小説を集めたものになっていた。

 

 

 

最初に読んだのはバイコフの「偉大なる王」だったと思う。しかし、動物文学のなかでも非常に有名な小説のはずなのだが、イマイチ内容を覚えていない、ジャク・ロンドンの「白い牙」や「野生の呼び声」の内容はよく覚えているのだが、なぜだろう。

 

 

 

逆にあまりメジャーではないと思われる「クマオンの人食いトラ」のトラ狩りの話や「霧の中のトラ」のような、トラが檻から脱出して大騒ぎになる話はよく覚えている。全集のいいところは有名な話から、知名度は低いものの読んでみると面白い作品に出合えるところだろうか?

 

 

 

先ほど難解な作品だと指摘した「自由の大地」(ロオマン・ギャリイ著)などはその一例だろうか。この巻はほかの巻よりも分厚く、時系列が前後する部分が多いので読むのに苦労する。巻末の解説にも

 

 

 

アンドリッチの「子羊アスカ死の舞踏」で少々戸惑いを覚えた読者は、スワースアウトの「動物と子供たちの詩」で困惑を深め、この「自由の大地」で大石に頭をぶつけたような気になり、困惑を通り越して腹を立てたのではないのだろうか。

 

 

 

と指摘している。

 

 

 

しかし、この自由の大地はフランスの文学賞である「コンクール賞」を得るなど、世間的な評価は悪くない。

 

 

 

主人公のモレルは仏領赤道アフリカにおいて象の保護を訴えるのだが、やがてテロ活動に発展。一時は現地人の賛同を得るものの、実際は両者の考えに乖離が生じており、主人公のモレルは最後に孤立化することになる。確かそんな話だったと思う←話を要約して分かりやすく伝えるのって難しいよね。

 

 

 

また、モレルと行動を共にしていた現地人のワイタリの言葉が印象的だった。

 

 

 

しかし、私たちは、今なお子供たちを食べにやってくる前史時代の象やライオンと時代を同じくして、いろいろなお守りなどを大切にする無知の中にうずくまる大陸ではなくて、前進しつつある大陸となりたいのです。ジャングルは私たちにとって追い払わなければならない害虫です。私はあなたがたが素晴らしいと叫ぶそれらの動物どもの打ち殺すに少しも後ろめたさを感じません(P323)

 

 

 

それに対し

 

 

 

自然の尊重ということがどういうことかを理解するには、沢山の血を流さなくてはなりません。あの若者たちは実際あらゆる勉強にも関わらず的が外れておりました。もしあの生意気盛りの青年たちが、自然保護のために一生をかけるという気持ちにまだなっていなかったとしたら、それは彼らがまだ自分でそれほど苦しんでなかったからなのでしょう(巻末より)

 

 

 

自然保護を簡単にはいうものの、それを実際に理解するには、様々な苦難の過程を経なければならないということだろうか。ワイタリのような知識層からしてみたら、自分の故郷が無知で前時代的な境遇に置かれているのは納得できないだろう。しかし、発展の反面。自然は開拓されていかなければならない障害物である。ということだろうか?

 

 

 

環境倫理を考えていくうえでも、世界動物文学全集は役に立ったと思う。日本の戸川幸夫の動物文学全集に対し、世界動物文学全集は西洋の思想を主に重点を置いているので、キリスト教的な発想が強いように思われる。

 

 

 

動物救出大作戦のような、ダムに沈むジャングルの動物たちを保護しようとする活動は、旧約聖書ノアの箱舟に酷似している。創世記にみられるように、人間は自然や動物を管理するために創られたという考え方があればこそ、こういった活動が存在するのではないだろうか。

 

 

 

まだまだ書き足りないような気もするが、なんだかもう疲れてきてしまった。

 

 

 

世界動物文学全集を読んで、いろいろと考えさせられる節はあった。特にこの全集は巻末のあとがきの内容が鋭いので、そこだけ読んでみて、興味の持てそうな作品を読んでみるのもアリかも知れない。

 

 

偉大なる王(ワン) (中公文庫)

偉大なる王(ワン) (中公文庫)

 

 

 

 

野性の呼び声 (光文社古典新訳文庫)

野性の呼び声 (光文社古典新訳文庫)

 

 

 

白い牙 (光文社古典新訳文庫)

白い牙 (光文社古典新訳文庫)

 

 

 

自由の大地〈上〉―天国の根 (1959年)

自由の大地〈上〉―天国の根 (1959年)

 

 

 

自由の大地〈下〉―天国の根 (1959年)

自由の大地〈下〉―天国の根 (1959年)