暗夜行路のブログ★

ダメ人間のぼやきです。

平井和正「幻魔大戦」

幻魔大戦この言葉を聞いて、ピンと来る人はそうそういないだろう。

 

かくいう私も、kindleでSF小説を掘り漁っていたら見つけた作品なのだが、読んでみたらなかなか面白くて、まだ最初のシリーズだけではあるが、20巻を読み通すことができた。


この作品が世に出たのは1967年。平成生まれの私は産まれてすらいないのだが、当時に生きていた人も、現在に生きている人も、人生というものに悩みながら生きていたに違いない。

 

最初の巻では、主人公東丈の身体的コンプレックスによる葛藤、そして野球部のレギュラーになれなかったことから鬱屈した感情を抱き、何事に対してもトゲトゲしくなる主人公。恋人との不和、弟卓に対する嫉妬に似た八つ当たり・・・・こういった話は、10代の同じような多感な年頃の少年だったら共感できる節が多々あるのではないだろうか?

 

また、丈の偉大なる超能力が覚醒し、彼自身の劣等感が「優越感」に変化する節などは、俗に言う中二病っぽく面白い展開である・・・・しかし、この作品は決して少年だけに向けて書かれた作品ではないだろう。幻魔大戦は、5巻までは漫画家の石ノ森章太郎と共同で著作されてものだったのだが、それ以降の巻になると雰囲気が今までの超能力で幻魔と戦うというコンセプトがガラリと変わってくる。丈が幻魔研究会、略してGENKENという組織を創設するのに奔走する作品になるのである。

 

よくアニメなんかでありがちな、バトル小説から一気に路線が変わり、東丈が教祖のような立場になっていくのである。きっと、5巻までのバトル的な雰囲気が好きだった人は、それ以降の巻は読まなくなるだろう。5巻までの少年誌のような展開から、複雑な人間関係を主題にした話になっていくのである。もともと著者の平井和正新宗教のGLAに入会していたこともあってか、組織のなかにある人間心理というものをよく捉えていると思う。

 

同性には煙たがられるけど、主人公とは人一倍仲のよいヒロインタイプの井沢郁江や。常識的で、大人であるばかりに郁江や丈の行動に気を揉んでしまう杉村由紀。どことなく、会の周りの人たちに比べて、自分自身は劣っているのではないかと引け目を感じてしまう、木村一枝や白井晴美・・・・要領がよくて、丈をライバル視している高鳥慶輪。そしてGENKEN側なのか、幻魔側の人間なのか釈然としない久保陽子・・・・

 

途中で打ち切りのような形で終わってしまうのは非常に残念。次の作品もあるのだが、そちらは平行世界の、違う展開のお話になるらしい。

 

とりあえず、次の作品である真幻魔大戦は、まだKindleでは出ていない模様。ヤフオクやアマゾンで出品されているものがないか、探してみたりもしたが、あまりいい感じのものは見つからない。

 

 

・・・・やはり、絶版の小説を見つけ出すのは、非常に難しいようである。

 

 

 こちらは路線回帰をして、幻魔とか戦闘シーンもあるようだが、まんまムー大陸やら、転生輪廻やら、幻魔大戦以上に宗教食が濃くなっているように思われる。

 

 

非常にぶっ飛んだ展開の作品ではあったが、個人的には非常に楽しめました。

 

 

・・・・しかし、話はやや変わるが、当時はまだ人種差別というものが、非常に根強く残っていたのだと思い知らされる。

 

 

黒んぼ発言や、ルナ王女の黄色人種への嫌悪。今でも残っている節もあるだろうが、当時と今を比べてみると、倫理観が変わっている面もあるのだと、実感ところもあり。また、とある新宗教を露骨に否定するところもありと、現在同じような話を作ったらバッシングされるのではないかと・・・・まぁ、そういった面も含めて面白く読ませていただきました。

真幻魔大戦1 超意識との邂逅

真幻魔大戦1 超意識との邂逅

 

 

現代日本の文学47~けものたちは故郷をめざす~

学研「現代日本の文学47“阿部公房・大江健三郎”」

 

どうにも今夜は神経が高ぶって、読書が進まない。

 

・・・・・なので、以前に読んだ本の感想でも一つ書いてみたいと思う。


けものたちは故郷をめざす (新潮文庫 あ 4-3)

けものたちは故郷をめざす (新潮文庫 あ 4-3)

 

 

 

どうにも私は物好きなのか、部屋のなかには一昔前の箱本やら全集がごろごろしている。今回書き込む、現代日本の文学はヤフオクで50巻揃いで落としたものだ。

 

これは去年の10月あたりに購入したのだが、読んだのはまだ17~18巻程度。今のペースで読み進めれば、私が三十路になるまでには読み終えられるが、これからも今のように暇だとは限らないから、どこまで進められるかはわからない。人間が一生に読める本の量なんて、たかが知れていると思う今日この頃。

 

・・・・とまあ、それは置いといて。この書籍には以下の作品が入っている。

 

阿部公房集

けものたちは故郷をめざす

魔法のチョーク

デントロカカリヤ

闖入者

 

大江健三郎

芽むしり 仔撃ち

飼育

不意の唖

後退青年研究所

アトミック・エイジの守護神

 

阿部公房と大江健三郎。この両者が同じ本に纏められた理由に関して、無知な私にはよくわからないが、この書籍に入っている作品は非常に戦争の影が漂う、どこか荒んだ臭いを漂わせるものばかりだ。

 

冒頭にある“けものたちは故郷をめざす”は、満州に移住していた主人公の久木久三が、故郷である日本を目指すために、ハバリンから南の遼東湾まで行く話だ。

 

・・・・この作品は、戦後育ちの私には全くわからない混沌とした、人間の欲望がうずまくけものじみた人々の物語だ。主人公の久木久三は、ロシア軍に占領されたハバリン市内で、そこに住んでいるロシア軍のアレクサンドロフ中尉に、女中同様の扱いを受けて生活していた。しかし、日本人として一人ハバリン市内の取り残された久三は、徐々にその焦りが高じていき、故郷の日本に向かおうと決心するのだった。

 

解説によると、阿部公房の根源的なテーマの一つに「壁」というものがあるそうだ。久三は南を目指すまでに、高石搭という偽名を使う青年に出会い、そして散々な思いをして果てしない原野を二人で歩み、やっと日本の領海までたどり着くことができるのだが・・・・?

 

敗戦後の日本は、果たして久三が想い描いていた楽園のような日本があったのだろうか「降りたって、ろくなことはないんだぜ。浮浪児になって、うろうろごみためを漁るのがオチさ。もうちっと、ここでゆっくり遊んでいくんだな」という船長の言葉には、困難を乗り越えた先には、きっと希望は見えると信じていただろう久三には、信じがたい現実だっただろう。

 

希望があると信じて向かった先には壁が立ちふさがっていた。なんともニヒリズムな展開だが、人間という生き物は、ある種の楽園というものを信じて前に突き進む傾向があるように思われる。

 

旧約聖書の約束の地を目指してカナンの地へ向かうユダヤ人。先住民を駆逐して、自分達の王国を立てたのはいいものの、ソロモンの栄華以降は衰退の兆しが見え始め、アッシリアによって国は滅ぼされてしまう。

 

・・・・しかし、絶望に苛まれて動かないよりも、人間は何かをやってから絶望したほうがいいのかも知れない。何かをやらずに後悔するよりも、何かをやって後悔したほうがいいこともあるのだろうから。とはいうものの、戦後の温室でのうのうと育ってきた人間が、偉いことをいえるような話ではないよなぁ。

 

当時の惨状なんてわからないし、結局甘ちゃんなことしか言えないんだよね。すさまじい話だとは思ったけれども、当時を生きていた人々の考えていたことや感情。それら全てを理解するのは不可能なんだろうな、きっと。

 

・・・・とまあ、たかだか千文字ちょっと書いただけで1時間と20分を消費し、そろそろ寝る時間になっている。まだまだ一作品のことしか書いてないのだけれども。続きは後日、また気が向いたら書こうと思います。

 

ブログを始めてみました。

 

ブログ始めてみちゃいました♪

 

 

まったく何から手をつけていいのかわかりませんが、ブログを始めてみました。

 

主に、読書感想文みたいなものを書いていけたらいいなあと思っています。

 

昔から、少なからず文学や思想に興味関心を抱いていたものの、あまりそういった話で人と交流する機会がなかったので、そういった話をブログのなかで、していけたらいいなあと思います。

 

それでは、よろしくお願いします。